[2017/1/14]城東スキルアップコース(第8回)開催報告


年明けから2週間経ち、正月気分もほぼ抜けた1月14日(土)、城東スキルアップコース(城東プロコン塾)の第8回の講義が佃区民館で行われました。20名の受講生が参加しました。

1.課題図書「マネジメント」(ピーター・F・ドラッカー著)の発表

課題図書であるドラッカーの名著をメンバー各自が読み込み、6名が当日発表しました。発表内容は全体をさらったものから、論点を大きく絞り込んで論じたもの、現在の事象に引き付けて再解釈を試みたものなど多様であり、Q&Aも刺激的で興味深い議論の場となりました。もともと大著をコンパクトに抜粋した本であるため、扱っている内容も多岐にわたり、「難しかった」「大変だった」という言葉が参加者から漏れ聞こえたのが印象的でした。共通した感想として提示されたのは、「40年前に書かれた本にも拘らず、現代企業とそれを取り巻く社会との間で生じている多くの論点を先取りしている」という点であったと思います。

大石正明会員からは、この本で提示されたコンセプトに基づいて、診断先の企業をみるときは、まずその企業が「顧客を創造している企業か?」を見極めることが重要との示唆をいただきました。また、組織構造と機能に関する議論では、トップマネジメントの役割について、内部をみるとともに外のステークホルダーをみることの重要性についてもご指摘いただきました。

2.「地方創生地方創生 政策アイデアコンテスト2016」のプレゼンリハーサル

同コンテストの最終審査に進出した「千葉県銚子市のおもてなし医療観光プログラムによる地方創生」の担当者(近藤尚樹会員、橘真奈美会員)によるリハーサルが行われ、5分間でエッセンスを審査員に伝えるために作成したプレゼンテーションが披露されました。REASASのデータも駆使して銚子市の現状と今回提案の取組の有効性について訴える内容であり、やや硬さも見られましたが、短時間でポイントをしっかり提起できていたと思います。参加者からのアドバイスとしては、「医療が活性化するとそこへの食事供給やリネン供給などの周辺ビジネスへの波及があり、雇用拡大にもつながる、という観点も含めるとよい」といった指摘がありました。

3.「IT活用支援」講義

今回の最初の講義は、森下真一会員による「IT活用支援」でした。

(1)広くて深い領域

最初に、ITの活用は、業種別、業態別、部門別、課題別に異なっており、診断士の支援レベルも様々であること、また、技術は日進月歩であるため今日使えたものが明日には別な形になってしまうこと(実際FacebookやGoogleは予告通知なしに仕様を変更する)などの課題提起がありました。

これらを踏まえたうえで、一番大事なことは「その会社がITを使って何をしたいか、を見出すこと」であることを強調されました。実際、ホームページを作りたいとの要望を受けて、よくよくそれで何をしたいのかを聞いていくと、解決策がホームページではないことが9割(!)とのことでした。

次に、受講者各人が独立するとした場合にどのようにITを活用していくかを5分間考え、隣同士で共有する、という簡単なワークを行いました。考えを共有することでIT活用の流れや方向性などについて知見を深めることができたと思います。

(2)SNS、Facebook

SNSがメディアとして重要性を高めている背景として、インフラ等の環境整備の進展があると解説がありました。そのうえで、各種SNSサービスの現状について話があり、現時点ではFacebookがもっとも有効との見解が提示されました。

Facebookについては、ニュースフィード、タイムラインの特徴と設定方法について、管理者の運営手法、自社ページの作成などの説明がありました。さらに、「インサイト」を使ってアクセス解析を行うことで、どのような人がサイトに来ているか(性・年齢・地域などの属性、オーガニック(広告非経由)か有料広告からか等)が簡単に分析でき、次のアクションにつなげられる点についても重要な利点として紹介されました。

質疑応答も踏まえ、行動履歴やプライバシー情報の管理、海外向けページの用意などについて説明がありました。

 (3)所感

全体を通じて現状のSNS活用の見取り図が、参加者の頭の中に形成されたのではないかと思います。とくに注目したいのは、Facebookが、登録者の属性情報を使えるため、様々な切り口でのクロス集計など、一段深いアナリティクスをスムーズに行える点です。他の一般的なアクセス解析がやや力技で属性情報を生成するのと比べて、信頼性も高いと考えられます。

4.「IoTによる新たなビジネスモデルの創造」講義

2番目の講義は、堀尾健人会員による「IoTによる新たなビジネスモデルの創造」でした。

 (1)IT利活用の変遷、IT利活用の現状

ビッグデータ、AI、IoT等のIT技術の深化により、ビジネス環境が大きく変わっていくこと、製造業においてもこれまでの工場内や一企業内に閉じていたIT活用から、ネットワーク化が進展することが予想されていることが報告されました。日本企業ではITの利活用が遅れているとともに、利活用の方向性としても「攻めのIT投資」が志向されていないなど、課題が山積である点も同時に報告されました。

(2)拡大するIoT市場

IoTにより、スマートフォンなどの端末とともに、各種機器に取り付けたセンサーがネットワークで接続されることで、多様なデバイスがつながる世界へシフトしていくことが予想されています(2015年の154億個が、今後5年間で約2倍になるとの予測)。また、IoT製品は、3年で2倍となり、2020年のIoT市場規模は200兆円と見込まれています。

こうした急成長の背景として、モバイルの高速化、低価格化やセンサーの小型化と低価格化といった動きがあります。このようなトレンドをビジネスチャンスとして生かすには、既存製品のスマート化、新サービスの開発等の積極的な対応が重要であることが指摘されました。

また、IoT普及の課題としては、セキュリティの問題が挙げられ、管理者不在のモノがインターネットを介してつながりつづけることで、サイバー攻撃の脅威に晒されることや、重要な情報の漏出につながるリスクが高まる点が指摘されました。これに対応するための取組として、IP-VPNやプライベート・クラウドを活用した高セキュリティのIoT実証実験が紹介されました。

(3)所感

IoTを取り巻く動向とビジネスイメージについての知見が高まり、事業創造への意欲が刺激される内容でした。ただし、IoTの新ビジネスの多くは、画期的な新製品やサービスを生み出すというよりも、従来別の手段を使っていたものをより効率的、低コストで行えるようにしたものという印象です。利益の最大化を目指す企業にとってのメリットは大きく、IoT製品の売上は成長すると思うものの、その分代替手段の売上は減るわけで、経済全体としてのパイは必ずしも拡大しないのでは、という疑問が浮かびました。

5.連絡事項

(1)第9回城東スキルアップの予定

 日 時  2017年2月4日(土)9:00~14:00
 場 所 TKP岩本町 TKPスター貸会議室 秋葉原岩本町
http://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/st-akihabara-iwamotocho/access/
東京都千代田区神田岩本町1-13 秋葉原清新ビル 7F
 講義テーマ  中小企業施策と受理されやすい申請書の作成方法
 講 師  関口大介会員

(2)新研究会立ち上げのご案内

栗山治会員より城東支部の研究会の案内と新規研究会立ち上げの依頼がありました。現在城東支部の研究会は7つであるが来期はさらに増やしたい。規定をよく読んだうえで、奮って申請書提出をお願いしたい、との内容でした。

(3)図書館セミナーのご報告

図書館セミナーの状況報告として、以下の報告がなされました。セミナーの模様は、ビデオを撮り、城東スキルアップのサイトに上げるなど共有予定です。

日程 講師及びタイトル 備考
2016年1月15日(日)
中央図書館
鈴木美穂子会員
「仕事のお悩み解決!実験ノート式仕事術」
定員30人から拡張50人へ
 2016年1月22日(日)
立石図書館
 布能弘一会員
「IoTの基礎およびビジネスへの活用」
 定員30人から拡張40人へ

※平成28年度スキルアップコース(城東プロコン塾)の受講者による平成28年度下半期 葛飾区立図書館ビジネスセミナー予定は以下をご参照ください。
http://www.johtoh-smeca.jp/info/katsushika-libsupport_2017_pre/

(二瓶 正会員)