[2021/3/21]「たもんじ交流農園オンラインセミナー」開催報告


 城東支部地域支援部と、NPO法人 寺島・玉ノ井まちづくり協議会が共催する「たもんじ交流農園オンラインセミナー ~『農』を採り込む、まちづくり」が3月21日(日)14時に開催され、61人の参加者を集めました。

 第1部は、筑波大学の生命環境系持続環境学の助教、新保奈穂美先生による講演「世界に広がる都市型農園の意義と運営方法」です。

 まず、欧州を中心とした世界の都市型農園の事例紹介にはじまり、19世紀から現代にかけて農園の役割が多様化した歴史を振り返ります。次に、日本での行政による農的空間の扱いが「宅地化すべきもの」から「都市にあるべきもの」へと変化し、都市に必要な農的空間を創出する制度は整ってきたことが示されました。
 また、日本におけるコミュニティガーデンは運営が難しいとされることについては、「地域内での食糧確保」「社会共生・格差是正」「防災・減災」といった、農的空間が応えうる「今」の社会課題を意識しつつ、「ゆるやかさ」を持って運営する必要があると話されました。
最後に「仲間は世界中におり、アジア諸国でも増えています。ぜひ一歩踏み出してまちを良くしましょう」とネットワークを広げることを呼びかけました。
終始柔らかい笑みを浮かべながら「農は“のりしろ”が多く、まち(社会・環境)をよくするためにいろいろな可能性があります」とお話しされたのが印象的な講演でした。

 第2部は、新保先生に、NPO法人 寺島・玉ノ井まちづくり協議会 事務局長の牛久光次さん、(株)計画技術研究所 代表取締役の佐谷和江さん、城東支部顧問・前地域支援部長の相川佳寛会員を加えた座談会「『農園』が身近にある暮らし方の効力」です。司会は佐々木靜会員が務めました。

 まず牛久さんから「たもんじ交流農園」の沿革紹介があり、続いて佐谷さんから街づくりコーディネータとして墨田区から派遣される形で同農園とかかわったこと、相川顧問からは中小企業診断士や城東支部としてのかかわりが話されました。
 メインテーマの「農園が身近にあることの効力」については、牛久さんから試行錯誤しながらコミュニティ形成を図ったことや、土の中に野菜が育っているのを見たことがない地域の子どもたちに見せることができたことの喜び、佐谷さんからは家や学校・職場に次ぐサードプレイスとしての農園のあり方や、たもんじ交流農園がそれに適していることについて報告があり、闊達な意見交換がなされました。新保先生は「たもんじ交流農園は作りがおしゃれで、行きたくなる場所」、「IoTで声ひとつであらゆるものが操作できるようになる時代に、子どもたちにとって“自分で生きる力”を養う場になるのでは」とまとめました。

 会場からは、「貸し農園のビジネス性」、「農地と政治のかかわり」、「シェア畑など民間の取り組み」、「市民緑地について」など多くの質問が寄せられ、盛況のうちに終了しました。

(渡辺英史会員)