[2019/10/05]城東スキルアップコース(第5回)開催報告


秋になっても残暑が残る10月5日(土)、第5回城東スキルアップコースが中央区佃区民館で行われました。20名の受講生が参加しました。

今回のプログラム内容は以下の通りです

  1. 診断実務 講師:長島孝善会員
  2. 健康経営 講師:屋代勝幸会員
  3. リスクマネジメント 講師:藤田千晴会員
  4. 図書館セミナーフィードバック

1. 診断実務 講師:長島孝善会員

診断士にとって基本となる診断実務の講義でした。支援機関の依頼による一般的な経営診断において、経営者から限られた時間内に必要な情報を引き出す方法について学びました。最初に、「傾聴して情報を引き出す」ための講義があり、その後、具体的な事例を使用したロールプレイングを実施しました。

全く知らない会社に行く場合、いかに経営者から情報を引き出すかがポイントとなります。傾聴して情報を引き出すためには、①相手を良く理解し、気持ちを汲み取り、共感する聞き方をする、②聞き上手になる、③前向きなコミュニケーションをする、の3点が重要です。
具体的な方法としては、質問項目を紙で用意して経営者と論点を共有する。相槌、うなずき、アイコンタクトで反応を返す。「そのところをもう少し詳しく教えてください」と質問を続けて、より深く引き出すこと等があります。
講義の最後に中小企業活力向上プロジェクトネクストや今回の事例説明があり、続けて、長島孝善会員を社長役としたロールプレイングに移りました。受講生からは2名が診断士役で参加してロールプレイングを行いました。
講義で学んだ「傾聴して引き出す」ことを念頭に置きながら、第3者として客観的にヒアリングのロールプレイングを見ることで、傾聴の大切さを改めて理解しました。また、経営者が話しやすい雰囲気を作ること、場をコントロールして会話の流れを作ることの大事さも痛感しました。
更にロールプレイングの後で、受講者による講評の時間が設けられ、他の受講者が良いと感じた点や改善点を聞くことができたことは、新たな気づきとなり非常に有意義でした。
診断実務において、経営者から情報を引き出すことは、中小企業診断士にとって基本的かつ必須なスキルです。今回の講義、および、ロールプレイングで学んだことを、今後の診断実務に是非とも活かしていきたいと思います。

2. 健康経営 講師:屋代勝幸会員

二時限目は屋代勝幸会員より、健康経営を学びました。健康経営は、コンサルティング活動のきっかけづくりやツールとして位置付けることもできます。

今まで、健康経営という言葉を聞いたことはありましたが、内容は理解できていなかったため、非常に学びの多い講義でした。
従来の考え方では、従業員の健康は個人の問題であり、「支出=コスト」でした。一方で、健康経営の考え方では、従業員の健康増進は経営理念であり、「支出=投資」です。つまり、健康経営の考えに沿った支出は、人に関する経営課題(従業員の高齢化、慢性的な人手不足、採用難・人材定着)解決の効果的な一手となります。これらの点は、中小企業の経営者にお伝えしたいポイントです。
健康経営のメリットには、攻めと守りの2種類あります。
まず、攻めのメリットとして、プレゼンティーズムコスト(出勤はしているものの体調が優れず、生産性が低下している状態)の削減や、生産性向上、社会的評価獲得、企業のイメージアップといったものが挙げられます。次に、守りのメリットとして、リスクマネジメントや、その結果としての企業負担の軽減があります。
アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンの調査では、健康経営への1ドルの投資で、3ドルの効果があったとのことです。人に関する経営課題の解決につながるだけではなく、支出(投資)以上の効果をもたらすことは、驚きでした。
また、健康経営の認証制度として、「健康経営優良法人認定制度」や「健康企業宣言」を学びました。講義の終わりの時間では、受講生の勤務する企業(企業内診断士の勤務先)に当てはめて「健康企業宣言チェックシート」を記入しました。自らチェックシートに記入してみることで、健康経営が身近になり、日々、健康経営への関心を高めていく必要性を感じました。
健康経営は、中小企業の経営者にとっても、従業員とその家族にとっても非常に良い取組みだと思います。今回の講義で学んだ健康経営の考え方やメリット、健康経営の認証制度の知識を自分のものとして充分に消化し、今後の診断士活動に着実に活かしていきます。

3. リスクマネジメント 講師:藤田千晴会員

午後からは、東京協会の地域支援部長でもある藤田千晴会員に「危機の発生前と発生後の対処」「BCPの考え方、組み立て方」をテーマに、リスクマネジメント概論の講義をいただきました。

① 危機の発生前と発生後の対処

はじめに、リスクとは何かについて解説してもらいました。「リスク=ハザード×接触回数」を挙げられ、ハザードとは危険の潜在的な発生源であり、その接触回数がどのくらいあるかでリスクが決まることを、ライオンを例に挙げ分かりやすく解説されました。そしてリスクは管理できるということを学びました。
次に、リスクマネジメント(危機管理)の全体像について解説をいただきました。リスクマネジメント(広義)には、危機発生の前後で2つに分かれており、危機発生の前の狭義のリスクマネジメントと発生後のクライシスマネジメントがあります。
発生前のリスクマネジメントは、リスク要因の特定と分析を行い、どこまで許容できるかを考え対抗戦略を立てることです。発生後のクライシスマネジメントは、事が起きてからどのように組織を構築し情報を管理し、復旧・復活活動を行うか対応策をとることです。
リスクへの対抗戦略の考え方は、リスクと便益はトレードオフの関係にあるため、リスクをゼロにするのではなく、リスクをある程度許容した上で、便益を追求することが重要になります。
私たちは、通常リスクは出来ればゼロがいいと思っているため、リスクをゼロにしないという考えは非常に斬新でした。例えば自動車の運転では、運転することによる事故に遭うリスクと運転することで得られる便益があることを説明され納得しました。

リスクマネジメントでは、セクハラ・パワハラの防止と対策や社内不正の防止と対策の事例を、一方クライシスマネジメントでは、マスコミ対応やモンスタークレーマー対応の事例を取り挙げられました。受講生である私たちの身の回りでも実際起こり得るリスクであるため、受講生は真剣に聞き入っていました。

② BCPの考え方、組み立て方

BCP(事業継続計画)の講義では、大規模な災害の発生後では正常な判断がしづらくなるため、事前にどのような計画を立てることが有効なのかを学びました。BCPの事例で、BCPを導入していた企業が、災害発生前より業績が伸びることがある事実に驚きました。業績が伸びる理由は、競合企業がまだ復旧できない内に自社が復旧を完了することで、災害発生前に競合企業に流れていた仕事の依頼が回ってくるためです。災害時に重要なことは、一早く復旧することであることを学びました。
また、事業継続戦略のパターン例として、施設・設備・事業所・取引先の「元通りの復旧」や「二重化」、「代替の用意」などありますが、一番コストが抑えられ高い効果が得られる「相互支援協定の締結」という方法があることも学びました。

今回リスクマネジメントの講義で、BCPは単なる災害時の対策計画という意味合いだけでなく、企業の事業継続力の獲得という平常時に目指すべき姿においても、需要な位置づけであることが理解できました。
また、藤田会員は、東日本大震災支援など多くの復旧支援のご経験をお持ちであり、成功・失敗それぞれの実例を用いた講義をしていただきました。世間一般のテキストやネット情報では得にくい大変貴重で興味深いお話を、私たちは聞くことができました。
リスクマネジメントは、経営者がまだ気づいていないリスクを指摘し、企業にとって価値ある支援を提供できる非常に重要なテーマです。
今回学んだリスクマネジメントの知識を習得し、今後の診断士活動に活かしていきます。

4. 図書館セミナーフィードバック

図書館セミナーの応募が8月末に締め切られ、今回は図書館セミナーに登壇する8名のメンバーの発表がありました。また、提出した企画書に対し、先生方から各個人に大変貴重なコメントをいただきました。
来年の1月から図書館セミナーが開催されます。選ばれたメンバーは、期待と不安を抱え、いよいよ準備がスタートします。悔いが残らないように頑張りましょう。

5. 第5回城東スキルアップコースの感想

全10回の講座もあっという間に半分の5回を終えました。
本やネットでは学べない講師陣の体験を基にした講義に刺激を受け、またロールプレイングのやり取りや、それに対する受講生のコメントからは新たな気付きを得ることができました。中小企業診断士としてもビジネスマンとしてもベテランの講師陣から実践的な指導をいただけることと、多くの同期と一緒に学ぶことで切磋琢磨し気付きを得られる、という城東スキルアップコースの2つの特徴を体験できた回でした。
あと残り5回ですが、一緒に学ぶ仲間とさらに交流を深め、研修を離れてもお互いを支えあえるような関係性を築いてまいります。

第6回の予定

日時  2019年11月2日(土) 9:15-17:00
場所 佃区民館
東京都中央区佃2-17-8
TEL 03-3533-6951
ホームページ http://www.city.chuo.lg.jp/sisetugaido/syukaisisetu/syukaisisetu13.html
アクセス ・東京メトロ有楽町線または都営地下鉄大江戸線月島駅下車4番出口 徒歩1分
・都バス「門33亀戸駅-豊海水産埠頭」月島駅下車 徒歩2分
https://mappage.jp/cml/SMAP.php?X=139.7879312578&Y=35.6617154837&L=12#S04

(森永逸二郎会員・水谷哲也会員)