[2020/10/3] 第5回城東スキルアップ開催報告


2020年度も下半期に入った10月3日(土)、第5回城東スキルアップが行われました。今回は新型コロナウィルス感染の状況を踏まえて、浜町区民館の会場とオンラインの併用で開催され、21名の受講生(会場13名、オンライン8名)が参加しました。

今回のプログラムは次の通りです。
1. 課題図書発表「マネジメント 基本と原則」(P.F.ドラッカー著)
2. 資金繰り(講師:本田一也会員)
3. 事業継続計画(BCP)(講師:長島孝善会員)

1. 課題図書発表「マネジメント 基本と原則」(P.F.ドラッカー著)

本書を読んでいない同僚診断士に全体像が理解できるように説明するという想定のもと、事前に課題図書を読み込んでA3サイズ1枚の資料を作成し、各3分間の発表を行いました。
マネジメントの使命やマネジャーの在り方など大きなテーマを扱った本であり、様々な切り口から解説できるため、プロ野球の監督のマネジメントスタイルを比較したり、資料に漫画を取り入れたり、ラグビー部のマネジャーは何をするべきかを語ったりと、受講生の発表も多彩なものとなりました。
今回は会場参加者とオンライン参加者が併存する形となったため、両者の発表を比較して見ることもできました。コロナの影響でリアルとオンラインの併用が続いていくと予想される中、効果的な説明の仕方を考える機会にもなりました。

2. 資金繰り(講師:本田一也会員)

本田一也会員より、資金繰りについての講義が行われました。
どのような企業でも、その存続のために最も重要なのは資金ショートを起こさないことです。しかし、上場企業においてはキャッシュ・フロー計算書の作成は義務付けられているものの、非上場企業においては義務はなく、中小企業ではCF計算書や資金繰り表を作らずに経営者の頭の中だけで資金繰りを回しているケースが少なくありません。
講義では、そうした資金繰りの落とし穴を指摘し、消費税や法人税・所得税の納付タイミングといった注意すべきポイントを中心に解説していただきました。
さらにワークとして、用意された決算書と事業計画書をもとに、資金繰り表を作成しました。その結果、損益で見ると利益が出ているにもかかわらず、Excelのシート上に厳しい資金繰りの見通しが現れました。また、借入金を返済していくためには売上高がどれだけ必要かという計算も行いました。
多くの場合、企業の業績を見るときはまず売上に目が行きます。しかし、キャッシュ・フローの観点から考えるとまず負債に注目しなければなりません。借入金を返済していくためのキャッシュを確保するために、利益がどれだけ必要か、売上がどれだけないといけないか、ということを考えていく必要があります。
講義を通して、資金繰りの状況を可視化し、改善のため計画を作っていくことが非常に重要であることが理解できました。そして、それを支援していくことが中小企業診断士に求められるということを強く認識しました。

3. 事業継続計画(BCP)(講師:長島孝善会員)

長島孝善会員からは「事業継続計画(BCP)」についてご講義いただきました。
2000年以降に、震度7の大地震が4回、感染症の拡大もSARS、新型インフルエンザ、MERS、新型コロナと4回起こっているという表を見て、非常事態がいかに身近にあるかということに気づかされました。
そうした危機に企業はどう対応すべきかを考えるために、台風に伴う河川氾濫を例にとったワークを行いました。水害の発生前日、発生直後、発生翌日という3つの時点ごとに、その時にとるべき行動を考えました。
水害発生前の対策を記入してから発生後の状況を読むと、このようなことも書くべきだったなと思い当たるところが見つかります。受講生としては、紙の上のほんの一瞬の後悔で済みますが、実際に被災をした中小企業経営者の立場に立ってみれば、それは現実の、一生ものにもなり得る後悔です。
城東支部が担当する城東5区は都内でも海抜が低く、昨年の台風19号襲来時は水害が心配された地域であり、世界的な異常気象の続発を考慮すると、このような事態はいつ起こってもおかしくありません。「天災は忘れたころにやってくる」と言いますが、それを中小企業経営者に思い出してもらい、対策をとってもらうためには、日常の経営相談を受ける立場である中小企業診断士の役割は重要であると、改めて自覚したワークでした。

4. 感想

会場とオンライン併用の開催となり、二重の準備が必要となる中、第5回城東スキルアップを開催していただき、講師と事務局の皆様に感謝申し上げます。
今回は、大災害などのリスク、そしてそれらによって影響をうける資金繰りについて学ぶことができました。
以前、他士業の方が「自分たちのところに持ち込まれたときは手遅れのケースが多い。問題の予防には診断士の力が必要」とおっしゃっているのを聞いたことがあります。
本田会員や長島会員の講義を受けて、中小企業を守っていくために中小企業診断士としてどのようなことができるか、という自分たちの役割について改めて考えさせられました。

5. 次回(第6回)の予定

【日時】11月7日(土)9:15~16:45
【会場】調整中
【講義内容】
9:15~10:45 課題図書発表 「ストーリーとしての競争戦略」楠木健著
10:45~11:45 HACCPの制度化対応 講師:屋代勝幸会員
12:45~16:45 公的支援制度(補助金、専門家派遣)の活用 講師:田中正浩会員

(古山亮一会員、齊藤慶太会員)